wet in the rain

ワッ ひどい雨 駅から事務所までは 10分程度の距離 雨はやみそうにないので歩いていく
ビニール傘をさす ブリーフケースの中の書類をぬらさないように 胸に抱える

ビニール傘は役にたたない スーツの肩は濡れ スラックスの裾は重い 革靴は 水の中に足を突っ込み歩いているようだ

 前方を見ると 傘をささずに びしょ濡れになり歩いていく女子高校生が もうずいぶんと濡れている 
これが自分の子だと考えると 声をかけずにいられない
 
 傘持ってないの この傘使って 私はそこが事務所だから ビニール傘だから返さなくていいよ と声をかけた

 無視 無下 いらない という言葉もなく 歩いていく 

 世の中 警戒しないといけないこともあるけど これほどのひどい雨 傘使ったらと思った そんなに頑なにならなくても 時には 他人からの好意を 素直に受け取ることも必要だよ みんなが助けてくれるから

 どこまで歩くのかわからないが 私と同じように 声をかける人もいるだろう 無視するのかな

  人の言葉は善意にとれ その方が五倍の賢い  シェイクスピア

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