27 ジェットコースター

本当ならかっこよくジェットコースターに乗り込みたい。しかし、それはできない。

なぜなら、私は高所恐怖症だからだ。それも極度のそれだ。照明の電球が切れ、低い脚立でさえ怖い。それが、日本で初のジェットコースターである。最高点まで達すると背中から落ちていく、何回転ものひねりがあるなど、これまでのジェットコースターをくつがえすというのがうたい文句となっている。

普段ならこんな怖いものにお金を払ってまで乗る必要はないのだが、今日は彼女との初デート。なんと彼女はジェットコースターが大好きと言うのだ。遊園地が初デート場所というのはよかったが、このことは想定外だった。二人分のチケットを買い、乗り場に向かう。めまいがしそうだ。わたしの横では彼女が興奮している様子。

列がどんどんと進んでいき、順番が近づいてくる。私はどうすればいいんだ。おしっこなんて漏らしたら取返しがつかない。

ジェットコースターが戻ってきた。あまりの恐怖で泣いている人がいて、そんなに怖いのかと騒ぎはじめた。

ボクは決断した。覚悟を決めて乗り込もう。これで初デートがダメになってもいいではないか。と、彼女が恐くなってきたからやめましょうというではないか。内心安堵したのは言うまでもない。

ボクは平気だったのにというふうに装いながら、辞退することを係員につたえて、ジェットコースターを去った。

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