⑮ 道迷い

僕は、右の道へ進むか。左の道を選ぶか迷っている。

実はこういうことだ。山行に来た。初めての山だ。順調に頂上に到達してから下山の途中で道迷いだ。どちらから登ってきたのかわからない。登山者が少ない山にはよくあるが、登山道が不明確なのだ。登山者が多いと、メインのルートは踏み固められて、はっきりとわかる。右の道も左の道もはっきりとした差がない。

 低山だからといって、侮ってはいけない、行方不明になったり命に係わる場合もある。

最終結論の時間は迫っている。なぜなら、辺りが暗くなってきたからだ。山は平地よりも早く暗くなる。ガイドブックのページを見るが、この山の情報は、たくさんの山の中の一つで1ページが割り与えられているだけ。コンパスを見る。どちらの道も微妙だ。水の量も少ない。近くに沢は無い。さらに悪いことに携帯電話は圏外である。

いよいよ決断の時がきた。いろいろなことが頭の中をよぎる。しかし、いまこそ冷静に行動をする必要がある。不足の事態を考えながらも良い条件を考えよう。季節は春、夜はそれほど冷え込むことはないだろう。雨具の装備はある。水は少ないが、食料は多少ある。

よし、左の道へ進む。

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