葛藤⑥ ネコ
僕は、青い目のしっぽの長い子ネコを飼うか、脚の悪い子ネコ飼うか迷っていた。
実はこういうことだ。ネコを飼いたいと考えた。里親募集のチラシを見て、ネコたちを見に行くことにした。会場には、ゲージに入れられた多くののネコ達がいた。高齢のネコ、子猫、じっとゲージの隅にいて人間を信用していないようなネコ。こういう状況を見ると複雑な気持ちになる。なぜだか胸が苦しくなる。ただし、何が複雑な気持ちにするのかは、はっきりとわからない。本当なら、すべてのネコを飼ってあげたい。平気で捨てる。ちいさな命を残酷な方法で処分する人間がいる。人間の傲慢に怒っても何も解決しないのだが。これが現実だ。
最終結論の時間はあと2時間だ。青い目のしっぽの長い子ネコは、上目づかいに僕を見つめる。脚の悪い子を選ぶ、今の僕には世話ができるのだろうか。ケアをしてあげる時間はとれそうにない。
いよいよ決断の時がきた。僕は、二匹のネコを改めて抱っこした。抱っこしたら選ぶのがより苦しくなるのだが。一人だけでも救えたらいいではないか。